さびおの人生わびさび

大人の階段を登りまくっている女による呟き・イラスト

今週のお題 〜拝啓17歳の 君へ~

今週のお題「人生最大の危機」

今から30年前、そう世の中はバブルに浮かれていて絶頂だった時代。
私は17歳。進学という道が決まってほっとしていた。
親友たちも今では考えられない地元の大手と言われる会社に就職が決まっていた。
後は卒業までの高校時代を有意義に過ごすのみと。



『東京』

地方の我々にとっては、別世界の存在するのかどうなのかさえ分からない、それは海外のような桃源郷のような光輝く世界であった。

東京ディズニーランドホコ天、東京ドーム、芸能人、芸能人、芸能人と(笑)

今だ、今しか行く時はない!このチャンスを逃すといつ行けるか分からん!!

私と同じ志(大げさ(^^;))を持つ同志三人が集まった。

そう、我々は東京へ行くのだ!『卒業旅行で!!』

当時はネットなどない。情報量が圧倒的に少ない時代。
頼れるものは『るるぶ』のみ(^^;)
スマホもない。IKOCA(駅の電子マネー)もない。 
『オラ東京さいくだ♪』(笑)

自分の仕入れた本当かどうかも分からない小さな情報と、めいいっぱいの小銭と、おのれの野生の感だけをたよりに三人は旅立つ事に決めたのであった。

巨人軍好きのZ子は東京ドーム、テレビ局に行ってみたいというT子はNHK、そして私はその当時大好きだった『一世風靡セピア』が活動していた渋谷に行ってみたい!と心はずませ準備をしていた。皇居に、東京タワーに、はとバスにと・・・。

今の高校生だとありえないですね(^^;)その当時もか。このチョイス(笑)
定番しか分からなかったですからね。

そうして親も巻き込んで万全の支度&準備をして旅立ちの日を迎えたのである。

朝早くに新幹線のホーム。各自の親たちもお見送り。
私の親は「みんなで食べなさい」と巨大な弁当(;^ω^) 
東海道中膝栗毛でもするんか(笑)  
お母さん、ありがたいが荷物が増えるよ💦

「東京は危ないから、財布とは別に首にぶら下げるようにしてお金仕込んだよ」と私。

更に上手がいた。Z子だ。

「私は靴の中に紙幣を入れている」

なんだこのやりとり(笑)私たちはどこに行こうとしているんだ(笑)

でも当時の我々の東京のイメージは光輝くとは真逆のイメージも強くもっていた。
いつでもどこでも、悪の手が忍びこんでくる怖い街だと・・・。

Z子は自信に満ちた顔をしていたし、私たちも頼もしく思った。
「大丈夫だ、心配ない」と。

ともあれ万歳三唱 クラスの見送りをうけ、いざ東京へ出発したのであった。

東京へ着くと圧倒的な人の多さに三人はてんぱってしまった。
必死で空いたスペースを探し、るるぶを広げ、地下鉄の路線図を右に左に解読し、なんとか新宿方面ゆきの路線ホームへ向かったのであった。

三人の地元には地下鉄がない。初めての地下鉄。すぐ来る電車。
それだけでアトラクション。
めちゃくちゃドキドキしていた。  そして訪れたのである。

ヒューン、と独特な音を立てて、生ぬるい風と共に電車がやってきた。
緊張しながらも乗り込む三人。無事乗れた。ふぅ~良かったぁ、と思った、
いや思うちょっと前に「あっ!!!」の声が。

三人はすでに電車の中。 私の目の前にZ子。ちょっと前まで自信満々だったZ子。

Z子の足元が、足元が、足元がぁ~っ💦💦💦

片方靴がないのであるっ!!! 
電車とホームとの間があいていて、どうやら靴を引っかけて落としてしまったらしいのである。
 
貴重なお金の入っていた靴。 それもショックだが、
憧れの東京で片足靴履いてない状態、滑稽な姿で歩かないといけない。
靴はどこで買うの?私らが買える靴屋なんて、もちろんそんな情報調べてないし、この格好で人に聞くの恥ずかしいし、どうしよう!どうしよう!どうしよう!
どうしよぉ~!!

恥ずかしいけど親友のピンチなんだ、どうにかこの危機を乗り越えるんだぁ~!!!!

T子もショックを受けていたが、私と同じようにパニック状態のなか、必死で考えていた。

その時である。

「ジャーッ!」ファスナーの開く音。その中から白い物体が!!!

「もう一足持ってきていたんよ✨」

「えぇ~っ!!!」「マジか〜っ」(笑)

お金は仕方ないけど、二転三転する展開に笑いがとまらない三人。
相変わらずZ子は自信に満ち溢れていた(笑)
良かったぁ~、とにかくよかった~。 
その後は無事何事もなく、各々お目当てだった場所に行くこともでき、それなりの東京を満喫することができた。

17歳のあの子たちに言いたい。君らの人生最大の危機、
この事件が30年経った今でも東京旅行の一番の思い出になっているんだよ、
Z子は今でも自信満々に輝いているよと(笑)